核医学検査概要
医療関係核種一覧
放射性医薬品を用いた診断を、核医学検査と呼びます。核医学検査は、体内診断用放射性医薬品を用いるインビボ検査と、体外診断用放射性医薬品を用いるインビトロ検査の2つにわけられます。
インビボ検査では、患者さんの静脈に体内診断用放射性医薬品を注射したり、患者さんにカプセルを飲んでもらうことにより、この薬が臓器に集まる量や早さや形を専用のカメラで撮像します。このように、画像を撮ることをシンチグラフィと呼びます。また、体を輪切りにした画像を得る検査をSPECT検査やPET検査といいます。
SPECT検査やPET検査では、体内臓器の位置や形や大きさがわかります。これをもとに、病気の有無とその場所や大きさが明確にできます。また放射性医薬品が臓器に集まる時間と分布状態から、その臓器の働き(機能)が明らかにされます。
具体的には脳の血液の流れを見ることで、脳の動きが分かります。脳梗塞や脳出血、また話題のアルツハイマー病などの脳の状態や治療効果がわかります。甲状腺や副腎といったホルモンを作る臓器の病気が診断できます。肺の血流の流れを見ることで、肺梗塞などの血栓の場所や程度及び治療効果を知ることが出来ます。ガス状の放射性医薬品を吸入しますと、気道や気管支、肺胞などの肺の病気も診断できます。死亡率が高い心筋梗塞や狭心症の診断やその傷害の程度の評価、さらに心臓の動き(機能)から患者さんの生活指導にも役立ちます。腎臓で血液の流れる状態や尿が腎臓から膀胱に排泄される様子(腎臓の機能)が簡単に分かります。各臓器のがんの存在や転移病巣の有無が検索できますし、骨に異常が無いかどうかも比較的簡単に診断できます。このように核医学検査は全身の多くの病気の検査に活用されています。
以下に、核医学検査において、さらに詳しい資料のページをご紹介いたします。
「核医学検査Q&A
」
http://www.jrias.or.jp/pet/cat3/601.html
「核医学紹介シリーズ」
http://www.jrias.or.jp/report/cat4/410.html
インビトロ検査とは、患者さんから採取した血液や尿などを試験管内で体外診断用放射性医薬品と混合し反応させることで、試料中の微量物質を測定する検査です。
インビトロ検査では、血液中のごく微量な物質、例えば脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵、副腎、卵巣、胎盤などでつくられるホルモンの量を測ることにより、病気の早期発見ができます。肝炎ウイルスによって感染しているかどうか、どんなウイルスかが識別できます。また、アレルギーがあるかどうか、何がその原因かも調べられます。ガン化に伴い血中に増える特定の微量物質(腫瘍マーカー)を測ることで、ガンの診断や、治療後の経過観察にも有用です。このようにインビトロ検査は、体内にごくわずかしか存在しない微量な物質の測定に適しています。
以下に、インビトロ検査の主な検査項目をご紹介いたします。
検 査 分 類 ※
検 査 概 要
A.下垂体機能検査
B.甲状腺機能検査
C.副甲状腺機能検査
D.肝・膵・消化管機能検査
E.性腺・胎盤機能検査
F.副腎機能検査
G.腎・血圧調節機能検査
H.血液・造血機能検査
それぞれの器官に関るホルモン等の測定による、該当器官における機能異常の検査
I.腫瘍マーカー
ガンの診断、経過観察、予後の判定をする検査
J.免疫グロブリン・アレルゲン
アレルギーの診断をする検査
K.酵素
血中の酵素測定により疾患の診断をする検査
L.肝炎ウイルス関連
肝炎ウイルスの感染の有無、ウイルスの種類を判別する検査
M.薬物
薬物投与量の目安を診断する検査
N.サイトカイン
ホルモン等、体内の代謝調節因子の測定をする検査
※検査分類は、第5回全国核医学診療実態調査((社)日本アイソトープ協会 編)の検査分類を参考にしました。
「1997年版「核医学検査Q&A」より引用」
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